本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

産む、産まない、産めない  甘糟りり子

今、岸田首相が少子化対策に力を入れ、予算をあてるとニュースで取り上げていますが、全ての対策を実行したとしても人口増加は遥か彼方の夢と終わるのかなと、そんな悲観的な目でしか見れない自分も嫌ですが、やっぱり厳しいです。

問題が山積みです。そして今さらになってお金を上げるから女性の皆さん子供を産んでください、育ててください、男性の皆さん育休をとってサポートしてください。みたいな上辺だけの政策では難しいです。

 

女性は赤ちゃんを産む道具と思いませんが、現実的な事を言えば生物学にいうと女性にしか赤ちゃんは産むことができません。そして、妊娠しやすい時期というのもある程度はっきりしています。その限られた期間の中で1人の女性が最低3人産まないと人口が増加に転じないという事を考えると妊娠して育休を終えるまでの期間、ざっと2年近くは必要で×3で6年という時間が必要です。

その間に女性が仕事もこなし、社会的な地位も失わず、そして妊娠したからといってマミートラックに合わずに済む。そして、産んだ後も仕事をしやすい環境、男性の協力ではなく自分も子育てをしているという自覚を持つための意識改革、その男性の意識を後押しする会社のバックアップ、休職している間の給与面でのフォロー、復帰後の幼稚園や保育園へ待機することなく入れる環境。子育てをしている世帯だけでなく、それをサポートしている同僚などへの給与面などの支援。などなどはっきりいって今あげたことなんか氷山の一角で、とにかく子育てをすることが大変な環境なんです。

みんないっぱいいっぱいなんです。だから安易に異次元なんて言葉を強調しあたかもしている感を出すの止めてほしいです。本当に真摯に取り組んでくだされば、分かる人たちには届くと思います。

 

今回、甘糟さんの本読ませていただきました。全8作。中には登場人物が重複しているのもありますが、1つ1つが予期せぬ妊娠に迷うキャリアウーマンの葛藤、不妊治療を続けるもなかなか授かることができない女性(ちなみにキャリアウーマンと友達)、妊娠するもお腹の中で死産を迎えてしまう女性、女医の旦那さんが会社に長期の育休をするという決断をする話など。1つ1つが現代の問題を取り扱っていてすごく考えさせられる作品でした。