本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

殺人出産  村田沙耶香

村田さんの本はいつ読んでもそのストーリーに驚かされる。

タイトルも奇抜だが、その内容もなかなかのものだ。

しかし、現在の超少子化の日本において、こうした着眼は必要な事かもしれない。

一夫多妻のように日本では問題視される内容。

10人の子供を産めば、1人の殺人を許されるという殺人出産。これは女性のみならず、男性も人口子宮を入れることになり可能なシステム。

もうこの内容だけで興味もわくことだろう。他、同作内のトリプルなどもトリッキーな内容になっている。

 

人喰いの家  塔山郁

題名がインパクトのある作品。

そして、中身もなかなかにインパクトがある作品。

殺人シーンは文章だけでも、残虐さが伝わる内容になっている。

霊能力者を名乗る女性とその息子。

彼女の霊能力は本物なのか。。。

 

夏の暑さを吹っ飛ばし、涼しくなる作品です。

 

 

冷たい校舎の時は止まる〈上〉〈下〉  辻村深月

傲慢と善良、盲目的な恋と友情、朝が来る、青空と逃げるなどいくつか作品を読んできました。その辻村先生のデビュー作が今回の冷たい校舎の時は止まる。上下巻で1000ページを超えるボリュームは圧倒だが、それでも読み進めると手が止まらなくなり、あっという間に読み終える事ができました。

 

センター試験をあと数か月に控えた大雪のある日、いつも通りに登校した8人の高校生。しかし、いつもと様子がおかしい。8人以外に他の生徒や、先生が存在しない。そして、開かない玄関、無人の教室、5時53分に止まった時計。

何かがおかしい。いつもの学校であるはずだが、いつもの学校とは違う。そして指し示す時間が意味するものに気付いた時、8人は2か月前の学園祭の最中に飛び降り自殺を図った同級生の事を思い出す。しかし、8人はその同級生の名前が思い出せない。

そして、8人の仲間の内、1人がいなくなる。すると止まっていた時間が動き出し、次の5時53分になるとき、再び仲間がいなくなる。何が起きているのか。

8人の人物の学園祭当日の動き、それぞれの過去を順に追いながら徐々に事件の真相に迫る。

 

辻村先生のデビュー作であるが、8人の高校生の中に辻村深月という高校生が存在しているという面白さ。そしてその深月は本作で重要な人物の1人である。

ミステリー要素もありつつ、高校生という思春期の内に秘めたるそれぞれの思いや苦悩も丁寧に描かれている作品であり、非常に面白かったです。

 

 

 

訪問看護師 さゆりの探偵ノート  石黒順子

2017年に本書でデビューをされた石黒さん。

看護大学を卒業後、総合病院で勤務し、訪問看護を経験。

医療系の著者をよく読みますが、やはり医師が多く、こうして看護師の方が本を出される事に憧れを感じます。

本を読むのが大好きで手当たり次第、読み漁る。すると自分でも書いてみたいと思う時期もあったが、実際に書こうと思うと全然アイデアが出てこない。

 

この石黒さんの作品は訪問看護の舞台で繰り広げられる日常の中に潜む事件性のこと。これは、近い未来今よりもっと高齢社会に突入すると身の回りでも起こりうることかもしれない。と感じらされる内容でした。

ただ、主人公の白井さゆりさんが事件の臭いを感じ、探偵まがいの事をして、犯人と思われる人物や刑事を集めて、そこで犯人はあなただ。と言った場面はさすがに冷や汗をかきました。おいおい大丈夫か!と。まぁその後の内容については読み進めていただけるといいかなと思いますが、白井さゆりの1人称で話もすすむし、医療の事が詳しくない人でも説明要素も入りながら進むのでわかりやすくていい作品だと思います。

 

サクリファイス  近藤史恵

サクリファイス

意味:いけにえ、捧げもの、犠牲

 

本作のタイトルについては、読了した後で知りました。

そして、サクリファイスというタイトルなのかも納得。

近藤さんといえば、ミステリーを得意としているイメージ。

この作品は自転車のサイクルロードレースという競技が舞台の作品である。

スポーツとミステリーといけにえという要素がどう結びつくのかは、サイクルロードレースという競技の特性にあることは本作を見てもらうとわかると思うのでぜひ読んでみてほしい。

白石誓はチーム・オッジに所属するプロのロードレーサーである。

白石の戦い方、かつての恋人の再会、ライバルたちとの駆け引き、3年前に起きた不慮の事故と今回起きるチームメンバーの死。そうした物語が進んでいく内に徐々に結びついていく。

青春小説とサスペンスがうまく融合した作品となっており、スポーツが好きな方も、ミステリーが好きな方にも面白い作品になっていると思います。

 

ともぐい  河﨑秋子

2023年に刊行され、直木賞を受賞した本作。

川﨑さんの作品はいくつか拝読したが、馬に狼といった人間と動物たちの物語を描くことが多い。酪農家ならではの作風という印象。

今回の「ともぐい」は熊と熊爪という男が主人公。熊爪は道東の白糠の山中に1人で狩りをし、生計を立てている男である。

そんな熊爪のもとに異物がやってくる。白糠の隣町の釧路の阿寒という町で熊が畑や人を襲う被害が出ており、その熊とそれを追う太一という男が自分の山に紛れ込んできた。太一は熊に深手を負わされ、右目を失う。

太一は白糠の町で療養を受けるが、熊爪は被害を防止するため、その熊を退治することとなる。しかし、その熊を退治したのは白糠の山中で生まれ育った熊であった。熊爪はその熊が小さい頃を知っており、たくましく育ったその熊と逃げてきた熊の壮絶な一騎打ちを目の当たりにし、どこか人間なんかが入る余地はないと感じていた。その現場を目撃していた所を逃げてきた熊に見つかり、熊爪も負傷を負う。

そうした完膚なき敗北感から、死に損ねた自分は人間であるが、人間ではない、最早別の生き物だと感じるようになる。

 

読み進める内に作品の中にどんどん没入していく感覚になる作品であり、人間の内側にある心理にも迫り、熊と人間との関係にも迫る作品となっている。

非常に面白かったので、ぜひ読んでみてもらいたいと思います。

 

夜のピクニック 恩田陸

高校青春小説の本作。王道感たっぷりで読了後はこころが温まる、そんな作品です。

今はあまり実施されないかもですが、本作は学校の行事である「歩行祭」が舞台。

祭りとはあるが80kmもの距離をひたすら歩く、過酷な行事。朝8時に出発し、前半はクラスごとに分かれ、集団歩行、夜間にわずかな仮眠をした後、その後は好きな仲間に分かれる。順位を意識する者は走ったり、思い出作りに仲間と歩いたりして朝の8時に学校に戻る。

そんな過酷な行事の中で高校3年の甲田貴子は歩行祭の中で小さな賭けをしていた。それは同じクラスの西脇融と話をすることだった。貴子が抱くその思いは恋なのか?それとも別の理由なのか?

高校生たちの色んな思いが詰まっており、ハートフル青春小説なのでおススメ。

 

多部未華子さん主演で映画化もされていました。2006年公開なので多部さんも若い。


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