本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

鯨の岬 河﨑秋子

久しぶりに河﨑さんの作品を読了。

全2編が収録されており、うち1作品がタイトルの鯨の岬。

札幌の主婦奈津子は、孫が見ていた動画「鯨が腐敗爆発する」を見て自分の記憶の中から腐敗する臭いを思い出す。自分も体験しているはず。と

奈津子は釧路の施設に入院する母へ訪れる途中、捕鯨の町にいた記憶が蘇ってくる。

そんな記憶に引き寄せられるように、釧路駅から乗り換え花咲線へ。そして茶内駅から浜中町へ向かう。そう、その浜中町こそがかつての捕鯨の町であった。奈津子は記憶の扉を開き、徐々に記憶を蘇らせていく。そして、奈津子の記憶にあった鯨が腐敗爆発するという記憶の真相は!?

鯨は腐敗すると体内にガスが蓄積し、すごい勢いで爆発する危険があるそうで、専門家も座礁し死んでいる鯨には近づくなと警鐘しているようです。

そして、この話の後半に釧路での不発弾の爆発の話が出てきます。昭和40年、炊事遠足に出かけた共栄小学校の6年生、海岸に筒のようなものがあり、それが不発弾だと分からずに炭を入れたりと火おこしの道具に使ったそう。そして、大爆発が起こり、4名の児童がなくなり32名の教員、児童が重軽傷を負ったそう。今の西港の公園には慰霊碑もあるそう。

奈津子という1人の主婦の日々の暮らしで抱えるストレスや昔の記憶を巡る旅。そして判明する過去の真実。とても面白い作品でした。