本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

まぐだら屋のマリア 原田マハ

東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修業をしていた紫紋。

しかし、吟遊では料理の使いまわしなど偽装を行っていた。

紫紋自身もその真実を知りながらも、田舎の母のためにも目をつむることしかできなかった。そんな真実に耐えきれなくなったのは仲居だった晴香。

晴香は告発を決意、そして紫紋の弟分であり、晴香と付き合っていた悠太も晴香と共に告発、そして2人で死を決意していた。2人で死のうと決意した場所で悠太は晴香を待っていた。その頃、晴香は紫紋にその事を打ち明け、死ぬなと引き止められる。約束の場所に晴香が来ないことで裏切られたと思った悠太は1人で死ぬことを選んだ。

紫紋に何度もあった着信。それは悠太からの伝言であったが、それに気づかなかった。紫紋はそんな自分を責め、料理人としての夢もあきらめ、人生の終わりの地を求め彷徨い、「尽果」というバス停に降り立った。

そこでマリアという女性に出会う。そこから紫紋も少しずつ生きるという幸せを感じ、再生していく。そんなマリアにも過去に衝撃の過去が隠されていた。徐々に明らかになっていくマリアの過去とは?そして、死ぬことだけを考えていた紫紋はどうなるのか?

 

読み終わった感想としては、紫紋の事件も大変だったと思うが、途中で現れる丸弧やマリア(本名:有馬りあ)の過去の事件の方がなかなかだと感じた。そして、聖母マリアのような偶像と勝手に途中まで描いていたのだが、マリアの過去を知ったとき、少しマリアに対する見方が変わった。女将がどうしてマリアを悪魔と罵るのか、序盤では女将はひどい奴なのかとさえ感じていたが、そこから180度転換するような過去の事件、しかしラストに向かって過去の事件への赦しを求め、女将に尽くし続けたマリアに対して、読者は許すことができるのか否か。それは個々の判断によるかなと思う。

キリストにちなんだマリアや与羽(よはね)、紫紋、丸弧など主要な登場人物が関連している所もまた面白い。

 ちなみにマグダラのマリアという人物がイエスに従った女性としていたそう。

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