本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

いのちの停車場  南杏子


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原作読んでみました。

東京の救急救命センターで働く咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。在宅での老老介護四肢麻痺のIT社長を通じて在宅でできる最先端技術を模索、小児がんの少女とその両親との残された日々、終末期の患者とその妻との再生、ゴミ屋敷の中で生活しセルフ・ネグレクトを続ける母とその娘の物語。

同じ在宅でも抱える問題は様々で、一辺倒の治療とはいかない。救命で目の前の命を救うということを考えてきた咲和子だったが、在宅での医療にとまどいとやりがいを感じながら成長していく。そして、家庭では父の脳卒中後疼痛に苦しむ父から積極的安楽死を求められる。

個人的には小児がんの少女との物語。泣きました。自分にも子供がいますからもし自分の子供にガンが見つかったら、作中の両親と同じように認めることができず、自分たちを責め、苦しむだろうなと思います。そうした中、少女は自分の命が短いことを覚悟し受け入れようとしている。そして、少女が最後にかなえたい夢は何だったのか。本当に切なく悲しい物語です。

この世に生まれ、生きて、やがて命尽きるというのは人間だけではなく、すべての生き物にいえること。その命の長さは1人1人違い、誰にも予測なんてできない。だからこそ、みんな懸命に生きている。そして、死を覚悟した人間はよりそれを強く実感し噛みしめて日々を過ごす。