本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

漂流都市  嶋戸悠祐

東北第2の都市K市。

K市には轟家電という電気屋がある。全国に展開する大手家電が出店しても半年も経たず撤退を余儀なくされる。

轟家電にはフロアの広さに合わないほどの店員がいて、そして利用しているほとんどが高齢者。

町の高齢者率はなんと85%を超える。

轟家電、そしてK市に隠された秘密とは??

 

借金を抱えることになった人々が漂流され、K市に流れ着き、そこで働く。時透や中山、寺崎など漂流した人物たち、そして高齢者は他の町からK市特有の優遇措置があり、不気味ながらもその破格の優遇に魅了され移住する。

轟家電が他社を寄せ付けない一強でいる秘密が徐々に明かされ、そして町の秘密も明らかになっていく。

結末は絶望するような秘密が隠されていた。

 

この作品には現代社会が抱える高齢化という切実な問題に対して、驚くような切り口で攻めている。現実問題として、本作品のような結末はあまり望ましいとは言えないが、しかし、この超少子高齢化の日本において、間もなく迎える2025年問題が迫っている。第2二次ベビーブーム世代が高齢者に突入し、高齢化率30%を超えるとも言われる日本。そんな日本を支える政治家の多くも高齢者。パーティー券などの問題や不祥事の数々、岸田首相の打ち出す政策も世間の思いとはかけ離れているようなものばかり。日本はこれからどうなっていくのだろうか。1人1人が真剣に考えなければならない。