本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

推し、燃ゆ

純文学で表現も主人公の心情がわかりやすく表現されており、ページ数も

129ページほどで一気見してしまった。現役大学生が書いたというからなおのこと

素晴らしいと思う。1人の高校生が『推し』というものを一つの生業だと感じしてしまうくらい生きている証明なんだと感じた。

個人的にはアイドルを推す、CDを何枚も購入して握手券などを手に入れたり、推しが上位に入るという事に理解をできない方の人間だ。私自身も青春時代に好きな歌手がいてCDを購入して、ポスターを貼ってみたりという事は経験した。

2000年代頃からこうしたアイドル推しの風潮が強くなり、世間的にも受けいれられていたように思う。

この本では生きづらい世の中を見事に表現しており、その中で心の支えが推しのアイドルの存在なんだという事を主人公からの1人称で表現されていて、それを取り巻く家族、SNSでつながる知人とのやりとり。

うまくは言えないが、個人的には主人公に対して共感ができないというのが本音である。もちろん否定するつもりはない。もし、うまく生きられない原因の1つが病気のせいだとしたら、病気の種類にもよるが共感できるのかもしれない。しかし、本分の中で2つの診断名が告げられた。とある。作品の主人公の行動から読み解いていくしかしないが、学習系、記憶力系、コミュニケーション系、精神系などの疾患だと推測するが病気に向き合うではなく、できないことを病気の「せい」として取り上げることで、責任の所在があたかも自分の外にしかないような感じを受けた。少しでも受けいれつつ、周りの声にも耳を傾けた上でのそれでも支えが推しならば共感することができたかもしれない。しかし、家族は十分に心配し、一生けん命にサポートをしていたが、それを受けいれず過ごし、どうせ私の理解なんてできないよ。という風に感じてしまった。1人称のみの視点だけではなく、家族側からの視点も入っていくと家族も一緒になって苦しんでいるんだなと思えた。

また、推しのアイドルの殴った原因については最後まで分からずで、個人の推測で終わっていた。また、そこがきっかけでの解散という下りももう少し丁寧に描写されるとさらによかったのかなという個人的な感想でした。しかし、全体を通してこれが今どきのリアルな若者の心のうちなんだと考えされられました。

後、10年もすれば自分の子供が同じような年齢になるので、今から不安ではありますが、親としてどう在るべきかというを考えていこうと思います。