ランドリー 森淳一
コインランドリーで洗濯物を見張る仕事をしているテル。
小さい頃の頭のケガで物事を忘れたり、周りとのコミュニケーションもうまく図れない。そんなテルは、コインランドリーに忘れ物をした水絵に物を届けたことをきっかけに知り合う。水絵は東京に憧れ、上京したが好きだった相手には妻がいて妊娠したことがわかる。そして、その辛さから窃盗を取りつかれように繰り返す。
生まれ変わるために水絵は田舎に帰ることに。水絵は旅立つ前、コインランドリーで再び忘れ物をする。テルはその忘れ物を持って、水絵の田舎に届けることに。
2人の切ないほどピュアな物語。全体的に軽めな文体で読みやすく優しい気持ちに包まれる作品である。
水絵がそのまま電車に乗り込んでテルと田舎を後にした実家や仕事先のこととか、水絵が逮捕された1年の空白をテルがどうやって1人で生活できたのかなど、現実的な面で見ると少し気になる場面もあるが、現実的でありながらも、ファンタジーな雰囲気で読み進めていくと、2人の人間の辛い過去に共感できたりするかもしれない。
本作品は過去に映画にもなったよう。
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