本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

十字架のカルテ  知念実希人

弓削 凛(ゆげ りん)は新人医師で精神鑑定医を目指していた。

凛は精神鑑定の第一人者と言われる影山院長に弟子入りし、統合失調症

詐病統合失調症に類似した薬物中毒患者、解離性同一性障害、罪を犯してしまった人間の心の闇を鑑定し、その闇の真相に迫る。

 

凛には、どうしても精神鑑定医にならなければいけない事情を抱えていた。

詐病などでもわかる通り、血液検査や画像診断などで明らかになる内科的疾患、外傷による判別が可能な整形外科や外科的疾患などとは違ってその人自身が心の闇をコントロールし、偽っているのか、はたまた本当に精神がまいっているのかを判定することが非常に難しいというのを本書を通じて感じることができた。

今や精神疾患はよく耳にする疾患であり、うつ状態抑うつ傾向、躁状態、統合失調、解離性など多様な精神病が存在する。よく事件を起こした際に、精神状態についてフォーカスされる。しかし、本書でもあったが、世に溢れている多くの事件は健常者の割合が圧倒的に多い。しかし、無差別殺人などの重大な事件にはそうした精神疾患を抱えている人の割合が高いという。しかし、被害者側からすれば、健常者であろうと、精神疾患の患者であろうと身内が殺されれば、そんなの関係ない。罰するべきだと主張するのは当然のように思う。しかし精神疾患があり、責任能力がない場合には不起訴になり、治療を受け、社会復帰を目指すという。

1冊の本を通し、色々と考えさせられる内容であった。