硝子の葦 桜木紫乃
桜木先生の本を久しぶりに読了。
続編かと思いきや全く関連はないよう。
ホテルローヤルを営む幸田喜一郎が交通事故で意識不明の重体になった。
その妻、幸田節子は30歳で喜一郎とは年の離れた妻である。
本作品の序章部分で節子は母の律子が経営していた厚岸のスナックに火を放ち自殺を図る。そしてその4か月後、意識不明の重体となっていた喜一郎も死んだ。
ホテルローヤルの税理士を担当していた澤木の元に厚岸の警察都築がやってきて、4か月前の事件の事を聴きたいと。
事件は自殺だったのか?それとも他殺なのか?
そして、節子の母である律子もまた喜一郎が事故を起こした翌日から行方が分からないまま。
宮田喜一郎は節子と結婚したが、母の律子ともまた以前の妻と一緒だった時からの不倫相手であり、節子もまた喜一郎と結婚しつつも都築とは肉体関係を持っていた。
男と女が織り成す複雑な人間関係、そして節子の通う短歌会の仲間である佐野、佐野の家庭に秘められた秘密。桜木ワールドが見事に展開されながら、ミステリー要素も兼ねている。序章の節子の死の真相も最後に明らかになるが、予想外の結末に見事に騙された。
釧路、厚岸の地名が次々に出てくるので、想像しながら読みだけでも楽しかった。
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