本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

颶風の王 河﨑秋子

川﨑秋子さん。

同じ北海道の道東に在住。作家でもある彼女の本職は羊飼いだそう。

2012年の北海道新聞文学賞を受賞。

2014年に本作で三浦綾子文学賞を受賞。

 

時は明治の世。福島に住む捨造。捨造は自分の出生を母から聞く。

好きな人と駆け落ち同然で逃亡したものの、相手は村の人間に殺され、自分は雪山で雪崩に遭い、一緒に逃亡していた馬と共になんとか生きていたが、なんとかその馬を喰う事で生き延び、胎内にいた自分を守って産んでくれたこと。

大きくなった捨造は、故郷を離れ、新天地の北海道を目指すことにする。

そして、住み着いた根室の地で馬飼いとして生活する。

捨造の孫、和子。和子は捨造の仕事に誇りを持ち、祖父の仕事を手伝っていた。

しかし、あるとき大きな台風に見舞われ、馬の貸業務をしていた一家に災難がふりかかる。

近海の断崖絶壁である花島でコンブ漁の補助として貸していた馬たちが、島の唯一の道の崩落によって島に取り残されてしまう。

救出する方法はない。保有していた馬の半分を失い、和子の母の故郷である帯広に行くことになる。

時は過ぎ、和子の孫、ひかりは大学生。和子は脳梗塞で倒れ、ベッドの上で馬の事をおもむろにしゃべり始める。

そして、花島に取り残された馬たちの子孫がまだ残っているという話を聞く。ひかりは祖母にできること、島に行き、自分の目でその島の現状、馬に会いにいくことを決める。

6世代に渡り、明治から平成にかけて馬とヒトとの交感を描いた作品。

生きるとは。そんな世界観を味わえる、壮大な作品だったと思います。

読むとどんどん続きが気になる作品であり、是非読んでみてほしいと思います。