彼女が最後に見たものは まさきとしか
クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルで女性の遺体が発見された。
50代と思われる女性の着衣は乱れ、身元不明。
警視庁捜査一課の三ツ矢と戸塚警察署の田所は再びコンビを組み、捜査に当たる。
そして、女性の指紋が1年4か月前に千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。
2つの事件の関連はいかに?彼女はなぜ殺されたのか?
まさきとしかさんと言えば、三ツ矢&田所刑事シリーズ第一弾「あの日、君は何をした」である。20万部を超えるベストセラーに。
こちらの作品も非常に面白かった。そして今回の作品、彼女が最後に見たものは?
タイトルの彼女は松波郁子さんだといえる。なぜ、彼女は死んだのか?
その謎を三ツ矢刑事が丁寧に紐解いていく。
まさきとしかさんの作品は親と子、家族の間に生じる軋みを取り扱うことが多い。
だからといってイヤミスとはまた違う。家族の在り方、親と子の在り方など非常に考えされられる事が多い。
作品は田所岳人のちょっと変わり者である三ツ矢と共に捜査を進める視点が中心となるが、そこに松波郁子や東山里沙、松波博史を轢いてしまったトラック運転手の井沢勇介、その元妻の成美、里沙の娘の瑠美奈といった2つの事件に関係がある者を視点にした賞がいくつか展開されていく。
そうした中で見えてくる、それぞれの内にある苦しみなどが読み取れ、そして徐々に2つの事件が近づいていき、交わる時、事件の全貌が見えてくる。
どうして松波郁子は殺されなければならかったのか?そして東山義春はどうして刺殺されたのか?明らかになる悲しくて切ないエピソード。
ぜひ読んでみてほしいです。