SLやまぐち号殺人事件 西村京太郎
2023年、一番最初に読んだ本です。
西村京太郎さんといえばテレビの2時間ドラマとかでも放送されるし、あまりにも身近すぎる作家さん。ですが、身近すぎる故、本では読んだことがありませんでした。
新年一発目という事もあり、読んでみました。
そして、今回の作品になっているSLやまぐち号は昔、家族と乗った記憶がぼんやりと残っています。まだ、保育園か小学校低学年の頃でしょうか。
浜田より西に向かうと益田市という町があります。益田が島根の最も西に位置する市で南に進めば津和野町、西に向かえば山口の萩市に着きます。小学校の修学旅行は萩に行きましたし、津和野も山陰の小京都と呼ばれ、とても美しい町です。
山口県の新山口から島根県の津和野町までの区間で運行されています。
西村さんは1930年に東京で生まれ、63年「歪んだ朝」でデビュー。
鉄道をモチーフにしたトラベルミステリーの立役者。
2022年3月91才で亡くなられました。
今回の作品は、明治維新の時に活躍した長州藩の高杉晋作が創設した奇兵隊も登場し、先人たちの報われない無念を果たすためにその子孫たちが起こした事件。
比較的、早い段階で主犯は明らかになっていくが、その事件の真相を丁寧に明かしていき、過去の奇兵隊の歴史なども深く学ぶことができる作品であり、とても良かった。
歴史的に見ても、長州藩はかの初代総理大臣の伊藤博文をはじめ、多くの著名人を輩出し、政治的にも関わりが深い。安倍晋三元首相も山口である。
島根に住んでいた時はあまり感じたことはなかったが、中国地方は広島が大きく注目される一方で山口や島根はあまり注目されることが少なかった。しかし、歴史を遡っていくとこんなにも面白いのかとますます興味が高くなった。
今回の西村さんの作品は事件の面白さだけではなく、色んな面で学ぶことができるので読んでみてほしいと思います。