乾さんは北海道生まれの作家。2006年「夏光」で第86回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。
今回の作品は1人の中学生(川嶋有人)がある出来事をきっかけに引きこもりとなってしまう。
そんな彼を救おうと叔父は自分が医師として働いている北海道の離島へと高校進学を進める。そこで出会った島の人々や島育ちの野呂涼、斎藤誠。そして、有人と同じく訳ありで来た、八木陽樹と東村桃花。
5人での高校生活を過ごすうちに有人は徐々に自分らしさを取り戻していく。そして、離島という暮らしで島民の優しさやつながりにも触れていく。と同時に小さな島という閉鎖的な環境の生きづらさも同時に感じてしまう。
自分を外の世界に再び連れ出した叔父は癌で亡くなってしまう。
有人は過去の辛い経験や叔父の死を乗り越えることができるのか・・・
叔父は死ぬ前に有人にメッセージを残していた。
その中で叔父は、ー未来の自分を想像してみないかーと。
このまま時を過ごし、振り返った時にその生き方に後悔しないか??
叔父はそういう生き方を貫き、最後まで病気と闘い、島民の生活を守るため、医師として働いた。
とてもいい作品でした。誰しも自分の生き方に不安になったり、将来を不安視したり、俯瞰的に見ることは非常に難しい。将来の自分が今の自分を見たらどうか?そういう視点で自分の今の生活を見つめ、将来自分がしたいことやどうなりたいか?そのために今、自分はどう在るべきかという事を見つめなおすいい機会となりました。
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