屑の結晶 まさきとしか
タイトルだけ見たらどんな屑な人間の物語なんだろう。とだいぶタイトルにミスリードさせられた感じ。確かに序盤に出てくる小野宮という人物は2人を殺害したと連行される際にピースサインで笑顔を見せる。会話でもチャラチャラしていて、どこに本質があるのか読み取れず、たくさんの女に金を貢がせている。それだけで、十分なクズ男であり、その男が殺害をしている訳がないと救う会を結成するクズ女たち。
しかし、上手くミスリードさせて物語の本質に迫るとき、この男は本当に屑だったのかと考えさせられる。確かに事件に関わっていることは間違いないが、違和感だらけの正体に弁護士が徐々に迫っていき、話を読み終わったとき、非常に色んな事を考えるきっかけになる。何が正解だったのか、周りの人物たちも人間像も含め、人間の内面的な所に向かって色んな質問を投げかけてくるようなこの圧倒してくる感じ。まさきさんの真骨頂が出ている印象を受けました。
少し前に『完璧な母親』を読み、以前に『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』を読みましたが、どれも印象的でした。
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