本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

傷痕のメッセージ  知念実希人

医療×ミステリーの融合。

知念さんと言えば、医療という専門の分野にミステリーやファンタジーなどを融合し作る世界観が本当に素晴らしくいつも楽しく読ませてもらっている。

今回の作品は祈りのカルテという作品にも登場する純正医大や諏訪野。

テレビドラマでも放送されていました。他にも小鳥遊(たかなし)先輩が登場してきますが、小鳥遊といえば、天久シリーズにも登場してきます。色んな医師が登場してくるのでたくさん読んでいるとそういう部分でも面白さがありますね。

 

さて、今回の作品では医師、水城千早の父が癌で亡くなる。警備員だった父とは、母が亡くなってから疎遠な状態が続いており、今回治療で入院している時に少しでも父との距離が埋まるかもしれないと感じていた。しかしそんな矢先父は急変しなく亡くなってしまう。すると父から依頼されていた弁護士が病院にやってきて、自分が死んだらすぐに解剖をしてほしいという遺言を残していた。水城は状況をうまく呑み込めず、混乱する。解剖医で研修医時代の刀祢紫織は、父の思いを汲んで丁寧に解剖する旨を伝え、水城は解剖を決意する。そして、解剖の結果、

●●ニツタエロ H31小6 3.2.1 940.1・8 5.15.3

1043.21・15 32.23.7

という謎のメッセージが胃に刻まれていた。●●の所は胃の潰瘍によって読めなくなっていた。●●とは誰なのか?そして、胃が穿孔し出血によって死ぬ可能性があるのにも関わず、胃にメッセージを残した父の目的とは?

父が死んで、奴さんの折り紙が残された殺人事件が起きる。警察では28年前に起きた幼児を狙った連続殺人、「折り紙殺人事件」と関連があるかもしれないと。

そして、ずっと警備員だと思っていた父は元警察で28年前にも折り紙事件を追っていた。犯人はつかまらず、4人の子供が亡くなり、5人目の子供は行方不明のまま。その後は事件が起きることなく犯人も見つからず未解決となってしまう。父はその事件の直後に警察を止め、警備員になる。

父が死んで起きた事件と28年前の事件、この2つは同一犯なのか?模倣犯なのか?そしてなぜ父が死んですぐに事件が起きたのか?謎が謎を呼ぶ事件。

医師の水城千早、解剖医で同期の刀祢紫織、そして28年前父の部下で今も刑事の桜井公康。3人がそれぞれ協力しながら事件を追う。

事件の犯人は誰なのか?そして、28年前の真実は?事件の全容が明らかになるとき、驚きと悲しさと切なさと。色んな感情が生まれ泣くこと必至。

知念ワールドの世界にひたってください。