本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

モンスター 小西晴彦

札幌東高等学校を卒業し、中央大学文学部を経て、35年間高校教師。

その後、現在網走でカフェ7つの海のマスターをされているという小西さん。

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北海道を舞台にしているという所と、表紙にインパクトがあり読んでみました。

様々な要素が入っていて、すごかった。

1人の女性が軸となり、幼少時代の実母からのネグレクト、親に捨てられ、引き取られた養護施設での身体的虐待、10歳の時に引きとられた資産家の義父による性的虐待。そんな不遇の連続。少女はキリスト教の教えを通して、神の声を聞く。選ばれし者の使命はいかに?

時代を経て、北海道の道東、閑散としている町の高校で校長の殺人事件が発生。遺体は奇妙な死に方をしていた。寒別署の村雨と加賀は捜査を開始。なかなか進展がないなか、捜査は縮小されつつある。そんな折、北海道の学校関係の火災で死者が出た事件について遡って調べていくと、今回の不審な事件と似たような事件が2件存在した。その事件を調べると、現在在職している教師が、その学校にも同じタイミングで在籍していた。これは偶然なのか?

殺人犯の目線から物語が流れる視点と刑事2人の視点から物語が進む展開が交互に繰り広げられていく。その中ではキリストにまつわる話や、実際に起きた道警、道教委の裏金問題、教師の過酷な現実、苦悩や喜び。

非常に力強い作品だと思いました。高校での教師を長くされたからこそ、描ける作品だと思います。宗教的な要素も多く入っていて、専攻は社会の世界史か何かなのかと思うような印象です。