本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

アルツ村  南杏子

南先生のアルツ村読了。

先生が医師であると知っていればアルツというのがアルツハイマー認知症のこと?

という理解のもと読み進めることができます。

三宅明日香は夫のDVに限界がきていた。実家を頼ることもできない明日香は夜中に無滑のリサとともに実家の函館方面ではなく、北へと向かう。あてはないがとにかく北へ。

そんな明日香がたどり着いたのは・・・朱鞠内湖という湖のそばにある柵に囲まれた謎の村。電波も入らない、所在地もよくわからない。そして住んでいる住人の多くが高齢者、そして、近時記憶などが曖昧な症状を持っていた。認知症にはアルツハイマー認知症、脳血管性認知症、レビー小体認知症などがあるがほとんどがアルツハイマー認知症であり、現在の日本においても高齢化率が高まり、5人に1人は軽度の認知症を持っているのではないか、今後ますます増えていくのではないかと問題視されている。

認知症が厄介な点は、運動能力はそこまで低下していない状態で記憶障害や易怒的になったり、徘徊をしたりと介護者の負担が極めて大きいという点だ。

 

このアルツ村では住人には家があり、ある程度の自由が許されており、食事や洗濯といったものはバンショウと呼ばれる人が実施してくれるという所。しかし、明日香は看護師という知識があるため、早い段階で認知症の村という事は想像できた上で、身寄りもないことから隠れ蓑としてしばらく生活することにした。その中で徐々に高まる村の違和感、亡くなった人が自宅に帰ってきた時、なぜか頭には縫合の跡が・・・

そして物語が終盤に差し掛かると、思いもよらない真相も明らかに。

認知症という現代の問題に一石を投じる作品であり、非常に考えさせられる内容となっていた。そして、予想外の展開もあり、面白かったです。