本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

レフトハンド・ブラザーフッド  知念実希人

エイリアンハンドシンドローム』または『他人の手症候群』という病気を知っているだろうか?医療の現場で勤務して10年ほど経つし、知念さんや他の医療系の作家の作品を読んでいても何となく聞いたことがあるという事は多いが、今回は全くの初耳であった。

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簡単にいうと脳疾患により、片腕が自分の意思とは関係なく動く病気ということ。

この症状をもとに意思とは関係ない手に、亡くなった兄が宿り、その兄と対話をするという設定をする所に知念さんの素晴らしさが伺えます。他人から見ると、ひとりごつのように話しているので奇異な目で見られる岳士。

先生から治療を勧められ、明日にも入院というその日、岳士は逃げた。自転車をこいで

こいでひたすら逃げた。そして、東京につく。

多摩川の川沿いにテントを張り、休んでいた所、その近くに遺体を見つけた。第一発見者となった岳士は、その現場をホームレスに見られる。このままでは殺人の容疑をかけられると判断した岳士は、左手に宿る兄、海斗の助言を受け、その場から逃走し、自らの手で真犯人を見つけることにする。

逃亡し、潜伏場所に選んだウィークリーマンション。その隣人である美しい女性、彩夏との出会いや、怪しいドラッグ「サファイヤ」との出会いが彼らの思惑をかき乱し、2人の思惑は徐々にすれ違いを見せ始める。

物語が進み、事件が解決に向かう時、予想不可能な展開が2度3度訪れる。そして切ない衝撃が最後に待ち受ける。

全460ページほどの作品で知念さんの作品でも比較的長編の部類に入ると思うが読みだしたら止まりません。次が気になって気になって仕方がない。そんな作品でした。

ぜひ読んでみてほしいなと思います。