本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

15歳のテロリスト

松村涼哉さんの作品。1993年生まれで大学在学中に『ただ、それだけでよかったんです』で作家デビュー。

15歳のテロリストは5作品目にあたる。

15歳の少年が新宿駅を爆破するという犯行声明を出す。その事件の裏に隠された真実に辿りついたとき、驚愕と感動が胸に突き刺さります。

加害者家族と被害者家族の思いや苦悩が交錯する。そして、現代ならではのSNSやネットの利便性と背中合わせにある危険が登場人物の人生に大きく影響する。

250ページほどの本文で文面も読みやすく一気読みしました。

ここ最近、現実の世界においても未成年のニュースが報道されます。未成年による刺傷事件、放火事件、買い物カートを落とすという事件まで。未成年による事件は少年法により名前が報道されることはありません。しかし、昔であっても近所の噂から端を発し、加害者や被害者が特定されることはあったと思います。現代では昔の比ではなく、あらゆる情報網で簡単に特定される時代です。

本作品では、加害者本人よりは加害者や被害者の遺族に焦点を当て、生きる苦しみ、加害者への憎しみなど感情的な文面が多く胸に突き刺さりました。簡単にネットにコメントや投稿ができる時代だからこそ、言葉1つ1つを丁寧に、そして安易にネット情報に流されることなく自分自身の中で正しく理解して発信する必要があると感じました。

ぜひ読んでみてほしいと思います。