本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

ただ、それだけでよかったんです

松村涼哉さんの作品を前回の15歳のテロリストに続き読んでみました。

この作品を大学在学中に執筆したというのだから本当にすごい。この作品が第22回電撃小説大賞を受賞。

 

1人の男性生徒Kが自殺した。

菅原拓は悪魔だ』という遺書を残して。

次第に明らかになっていく真実。

 

前回の作品も中学生であり、今回の作品も中学校が舞台となっている。

その学校では、人間力テストという制度が導入されている。

それは、2種類の質問事項によって構成されている。

『この時代、○○に重要な能力はなんだと思いますか?以下の群から3つ選びなさい。』

『同じ学年のなかで、××を持つ人物を挙げてください。』

○○にはリーダー、上司、人気者などといった言葉が入り、××には優しさ、真面目さ、外見の良さなどが入り、生徒自らが投票し点数化され、学年順位がわかるシステム。

 

この制度によってもたらされるメリット・デメリット。そしてその制度によって葛藤する中学生の内面を描き、親や兄弟、教師という取り巻く環境が描かれている。

男子生徒Kが自殺した理由は本当に菅原拓によるいじめだったのか。

自殺したKの姉が真相を探り、徐々に明らかになる事実。

ページ数は260ページ程で文体もやはり読みやすく、内面が見事に描かれている。

是非とも読んでほしいと思います。