本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

西洋菓子店 プティ・フール  千早茜

今年の直木賞芥川賞ともに2作ずつ受賞しました。

直木賞を受賞した作家の1人が千早さんです。

北海道の江別市出身で、現在は京都に在住されている。

その千早さんが「しろがねの葉」で直木賞を受賞したのだが、舞台は島根県石見銀山。戦国時代末期の石見銀山はシルバーラッシュ。天才山師・善兵衛に拾われた少女・ウメは銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働きだす。

しかし、徳川の支配強化に善兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出される・・・

 

島根県出身の自分としては、北海道出身の千早さんが島根を舞台にした作品を取り上げてくれるのは非常にうれしいです。

石見銀山は最盛期、世界の1/3の銀を産出した言われており、昔の海外の世界地図にも石見銀山が載っていたほどだった。だからこそ、徳川もその石見銀山支配下に置きたかったのだろうと思います。そうした背景をどう描いているのか楽しみです。まだ読んだことがないのでこれからチャレンジしようと思います。

 

ちなみに石見銀山に関しては別のブログで掲載しているので、そちらも参照してほしいです。

sekaiisann.hatenadiary.com

そんな千早さんの作品をまずは1つ読んでみようと思い、今回の作品を試してみました。タイトルのやさしさで選びました。

プティ・フールはフランス語で小さな菓子の総称をいいます。

 かわいらしいですよね。この時期だとバレンタインも近いし喜ばれるかもしれません。

本作で各章をグロゼイユ(Groseille)、ヴァニーユ(Vanille)、カラメル(Caramel)、ロゼ(Rose)、ショコラ(Chocolat)、クレーム(Creme)で紹介しています。

グロゼイユは亜樹、ヴァニーユは亜樹が昔働いていた店の後輩である澄孝、カラメルは亜樹の祖父の菓子店に時々くるお客である美佐江、ロゼは澄孝の友達である美波、ショコラは亜樹の婚約者である祐介、クレームは再び亜樹。

流れゆく時間の中でそれぞれの視点の違いから見る世界、そして揺れ動く内面。日常に流れる喜びだったり、悲しみや嫉妬。そんな気持ちの揺れ動きを見事に描いている。婚約者でも他人、片思いを抱えつつの友人関係、夫婦の関係など、人生には色んな事があってそれでもみんな生きている。そうした物語の中にお菓子が登場し、ほっこりさせる。お菓子の特徴もその物語に合うような内容になっている。