本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

小さいそれがいるところ 根室本線 狩勝の事件簿

私が住んでいる釧路も根室本線が通過する場所であり、最寄り駅は釧路駅から1駅東の東釧路駅という所である。

この東釧路駅から先は根室本線釧網本線が分岐する場所でもある。

今回の作品は、主に新得駅十勝清水駅といった辺りが舞台であり、釧路管内の尺別駅も少し登場する。

 

北海道の中心には十勝連峰が連なり、今でこそ高速道路が開通し車で走行できるが少し前までは日勝峠狩勝峠といった峠を車で越えなければならなかった。本作でも登場するが、この峠を越えるために作られた線路には多くの犠牲が伴っていたと言わざるを得ない。主燃料が木炭から石炭に変わった頃、全国的にも多くの炭鉱があり、北海道もまた多くの炭鉱を生み出した。そのほとんどが今は廃墟と化した。しかし、その時代の石炭が日本の原動力を生み出し、海外に輸出し発展、国内でもSLを中心とした移動の中心を担った。そのおかげで人々の生活圏も拡大した。

 

さて、この物語は2人の人物が中心となって話が進んでいく。1人は白木恭介、母が亡くなり、手紙である人物に石を返してほしいと買いていたところから始まる。そして、もう1人は吉井悠司。都内在住の鉄道マニア。秘境巡りを趣味としている。そんな、2人を中心に現在のお話し、そして過去の出来事が絡み合い、話が進んでいく。殺人事件でもあるが、少年のひと夏の冒険でもあり、どんどん読み進めたくなるそんな1冊でした。そして、部分部分にちりばめられた話もきちんと回収されていくので、あれっと思い前に戻る。そして納得し進めるそんな1冊でした。とても面白い作品だったのでぜひ読んでみてください。

 

作者の綾見洋介さんにとって本作はデビュー作。このミス大賞の隠し玉を受賞。

1984年生まれで同い年。研究メーカーで働く傍ら小説を書いていたというのですごい。今回初めて読んだが、今後も応援したくなりました。