本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

11文字の檻  青崎有吾

青崎さんの作品は今回初めて読みました。

短編集になっている作品でしたが、「加速していく」、「噤ヶ森の硝子屋敷」は印象に残りました。加速していくはJR福知山線脱線事故を題材にしています。2005年4月25日9時18分頃、塚口駅~尼崎駅間の制限速度70km/hの右カーブ区間に、116km/hで進入した7両編成の列車が曲がり切れず、前5両が脱線した。

この事故で運転手、乗客合わせ107名が死亡、562名が負傷した。

JR尼崎脱線事故15年 「あの日」の記憶、今を問う - 日本経済新聞

事件がわかる:福知山線脱線事故 | 毎日新聞

先頭車両はマンションの駐車場部分に突っ込み見えないほどになっている。見えている車両もぺちゃんこになっている。この事故ではJR西日本の社内の規定などが関与していると言われるがいずれにせよこうした事故が起きないよう願うばかりである。

そして、今回の作品では新聞記者の人たちが見た当時の状況を描いており、そして、高校生が自殺しようとしていた内容をリンクさせた作品となっている。

私も2007年の10ヶ月余りを尼崎で仕事する機会があったが、この場所近くにも営業で回ることもあった。本当に悲しい事故です。今、改めて追悼の意を表したいと思います。

 

硝子屋敷編では大学時代の5人の友人が数年ぶりに再会し、奇才の芸術家である人物の硝子屋敷を訪れた際に起きた殺人事件が内容となっている。短編集の中の1作品という事でそこまで長い作品ではないので読みやすくていいです。事件の真相については予想は外れ、本当に可能?と思う部分もありましたが、トリックの面白さはなるほどと思いました。