本好きナースマン

色んな本を読んで日々の生活に潤いを与えています。目指すは年間100冊読了。

泣くな研修医シリーズ  中山祐次郎 

前回、泣くな研修医読了しました。

そして、この本はシリーズになっていて

「逃げるな新人外科医」、「走れ外科医」、「やめるな外科医」と進んでいきます。

そして、このシリーズの0という位置になるのか、最新作は「悩め医学生」という薩摩大学医学部時代に遡ります。

最初の泣くな研修医が面白かったので、逃げるな新人外科医、走れ外科医、やめるな外科医は一気見しました。看護師として働いているので、今回の3作品を通して、改めて医師がどれだけ大変だという事を理解しましたし、ある程度年数を経てもまだまだ足りないくらいに手技の獲得や知識の習得をし続けなければいけないんだと。

 でもですよ、いくら患者さんのためと分かっていても、医師の実際の働き方に関してはプライベートもあったもんじゃないですよね。当直明けからの手術や外来、回診、終わってからも記録や勉強への準備、夜間も当たり前のようにコールがなる。何よりも隆治の彼女であるはるか。彼女の気持ちに感情移入したら可哀そうで仕方がなかった。2か月ぶりに会った久しぶりの休日にも連絡がきて、病院に。忙ししすぎて、彼女の誕生日も忘れる。しかし、癌で末期の葵の願いを叶えるために、富士山登山をしたり、ボーリングに付き合ったり、ディナーを楽しんだり。葵は隆治の事が好きだったのでしょう。そして、残された人生を悔いなく生きたい、そうすることで現実を忘れることや、もしかしたら生きる事ができるかもしれないと一縷の望みをかけて必死だったと思います。そうした若くしてターミナルになる女性の辛さが描写されていてリアルで良かったです。でも、やっぱりはるかが可哀そうです。みんながみんな隆治のような医師とも限らないし、隆治の事を最初めっちゃ応援してました。真面目で努力家で、患者さんに寄り添ってこんな医師が近くにいたらいいなと。しかし、年数が経つにつれて少し垣間見える傲慢さ。でも、それは医師という仕事にプライドを持っていてるという所では表裏一体の部分なのかもしれません。そうしたプライドと責任感と多少の傲慢さがなければ、おそらくそうした世界では厳しいのだと思います。そこもリアルなんだと思います。そして、一般人のはるかや隆治の上司の佐藤の彼氏だった春海。こうした一般人から見る隆治や佐藤に対する気持ちもまたリアルなんだと思います。そして、入院してくる患者や医師の側でサポートしている看護師の吉川らの描写もリアルで、作品はフィクションでも、本当にこうした世界なんだと思います。

 看護師になって10年目ですが、まだまだ分からないことが多いです。そして、病院という世界は独特というのもまた実感しています。慣れてはいけないと常日頃感じながら生きています。特に【死】について。何人かの患者さんが亡くなっているし、やめるな外科医の最後には葵も亡くなります。エピローグに

雨野隆治、30歳。医者6年目。人の死になんて、慣れない。

まさにそうだと思います。私たちの病院も療養病院なので、ほとんどが高齢者。看取る方がほとんどで多くの方の最期をみてきました。どこかで、死に慣れている自分もいるような気がします。それが、仕事では当たり前であってもプライベートでは当たり前になってはいけないんだと思います。

今回の作品を通して、色んな感情が出たり泣いたりしました。

医療系の仕事に従事している方はそうですが、それ以外の方にも読んでいただきたい作品です。

 

kitanoatuo.hatenablog.com

シリーズ②
研修医生活を終えたばかりの新人外科医。2人のがん患者の主治医となり、後輩に振り回されたり、食事をする間もないくらい忙しい。合コンで知り合ったはるかとの出会いや、そして父の死。個人的にはシリーズの中でも好きです。

 

シリーズ③
若手外科医時代。急患で運ばれてきた向日葵。彼女はステージⅣのガン患者。明るく人懐っこい葵。葵には富士山に登りたいという願いがあるが、その願いは叶うのか。また、はるかとともに実家への帰省、そして、この作品では基本的に雨野隆治という主人公の1人称で進むことが多い展開の中に突如、隆治の上司である佐藤の1人称で展開される部分がある。厳しくも懸命な佐藤。その佐藤と春海のやりとりもこのシリーズ③に含まれています。
 
シリーズ④
隆治は医師6年目になった。この頃になると、受け持ち患者も増え、大きな手術も任せられえるようになった。救外での判断も適格に行えるになってきた。
そして、少し傲慢な部分も見える所もある。そして、はるかとの別れ、葵の死。受け持ち患者の死。と死や別れという部分に重点が置かれているような印象を受ける。
 
シリーズ⑤
最新刊だけど、隆治が過ごした薩摩大学時代へと時代は遡る。今、まさに読んでいる所です。